労災保険特別加入制度とは?一人親方・中小事業主・自営業者も可能

労働保険
この記事は約7分で読めます。
スポンサーリンク

労災保険とは、労働者が、通勤途中や業務上のケガや疾病によって、働くことが困難になった際に、生活を補償するための制度です。

この制度の対象は、労働者となりますので、原則、自営業者や経営者は加入することができません。

しかし、労災保険には、特別加入制度というものがあり、一定の条件の場合には、加入することができるのです。

労災保険加入制度とは何か、制度の内容やどのような場合に加入できるのかについてみていきたいと思います。

 

 

 

 

 

スポンサーリンク

労災の特別加入制度とは?

労働基準法において、業務上のケガなどがあった場合には、その指揮や管理を行っている事業主が償いをしなければならないと定義されています。

しかし、この補償は、場合によっては、莫大な金額になる場合もあります。

そこで、この事業主負担を少しでも軽くする目的で誕生したのが労災保険制度です。

そうすると、指揮や監督を行う立場である事業主は、そもそも労災保険の給付を受ける対象にはならないですよね。

そうは言っても、中小企業の事業主は、従業員と同じような現場作業を行うこともあります。

また、日本から海外に派遣された労働者は、現地の労働災害補償制度の適用を受けることになりますが、国によって、補償制度が確立してなかったり、適用範囲や給付内容が十分でない場合があったりします。

このような場合に、労災保険の適用できるように定められているのが、労災保険の特別加入制度です。

それでは、この労災保険の特別加入制度の対象となるのは、どのような場合なのかについて、見ていきたいと思います。

 

 

 

 

 

労災に特別加入できる事業主は?

労災の特別加入制度は、加入できる条件により、以下の4種類があります。​

  • 中小事業主等の特別加入
  • 一人親方等の特別加入
  • 特定作業従事者の特別加入
  • 海外派遣者の特別加入

それぞれについて見ていきたいと思います。

 

中小事業主等の特別加入

中小事業主等が労災に特別加入できる場合というのは、以下となります。

事業の種類使用労働者数
金融業、保険業、不動産業、小売業常時50人以下
卸売業、サービス業常時100人以下
その他の業種常時300人以下

上記に該当し、労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託している場合に、加入することができます。

特別加入の申請手続きは、労働保険事務組合を通じて、「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受ける必要があります。

 

一人親方等の特別加入

一人親方等が労災に特別加入できる場合については、以下となります。

  • 自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業(個人タクシー業者や個人貨物運送業者など)
  • 建設の事業(土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊もしくは解体又はその準備の事業)(大工、左官、とび職人など)
  • 漁船による水産動植物の採捕の事業(7に該当する事業を除きます。)
  • 林業の事業
  • 医薬品の配置販売(医薬品医療機器等法第30条の許可を受けて行う医薬品の配置販売業)の事業
  • 再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業
  • 船員法第1条に規定する船員が行う事業

上記に該当し、一人親方等の団体(特別加入団体)​に所属している場合に、加入することができます。

特別加入の申請手続きは、特別加入団体を通じて、「特別加入申請書(一人親方等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受ける必要があります。

 

特定作業従事者の特別加入

特定作業従事者が労災に特別加入できる場合については、以下となります。

  • 特定農作業従事者
  • 指定農業機械作業従事者
  • 国又は地方公共団体が実施する訓練従事者(職場適応訓練従事者、事業主団体等委託訓練従事者)
  • 家内労働者及びその補助者
  • 労働組合等の常勤役員
  • 介護作業従事者及び家事支援従事者

上記に該当し、特定作業従事者の団体(特別加入団体)​に所属している場合に、加入することができます。

特別加入の申請手続きは、特別加入団体を通じて、「特別加入申請書(一人親方等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受ける必要があります。

 

海外派遣者の特別加入

海外派遣者が労災に特別加入できる場合は業種ごとに以下の通りです。

事業の種類使用労働者数
金融業、保険業、不動産業、小売業常時50人以下
卸売業、サービス業常時100人以下
その他の業種常時300人以下

また、海外派遣者が労災に特別加入できる場合については、以下となります。

  • 日本国内の事業主から、海外で行われる事業に労働者として派遣される人
  • 日本国内の事業主から、海外にある中小規模の事業(下表参照)に事業主等(労働者ではない立場)として派遣される人
  • 独立行政法人国際協力機構など開発途上地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除く)を行う団体から派遣されて、開発途上地域で行われている事業に従事する人

上記に該当する場合には、加入することができます。

特別加入の申請手続きは、派遣元の団体又は事業主が、「特別加入申請書(海外派遣者)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受ける必要があります。

 

特別加入制度の労災保険の保険料

労働者の労災保険料は、賃金総額に労災保険率を掛けて計算されます。

しかし、事業主の場合は、労災給付事故が発生したときに、いくらの給付金を受け取りたいのかに応じて、保険料が決定される仕組みとなっています。

特別加入の年間の労災保険料=給付基礎日額×365×保険料率

上記によって求められます。

給付基礎日額
A
保険料算定基礎額
B=A×365日
25,000円9,125,000円
24,000円8,760,000円
22,000円8,030,000円
20,000円7,300,000円
18,000円6,570,000円
16,000円5,840,000円
14,000円5,110,000円
12,000円4,380,000円
10,000円3,650,000円
9,000円3,285,000円
8,000円2,920,000円
7,000円2,555,000円
6,000円2,190,000円
5,000円1,825,000円
4,000円1,460,000円
3,500円1,277,500円

あらかじめ決めておいた給付基礎日額に、365日分をかけ、以下の料率を掛けて求めます。

特別加入の種類料率
自動車を利用して行う旅客または貨物の運送の事業12/1000
建設の事業18/1000
漁船による水産動植物の採捕の事業45/1000
林業の事業52/1000
医薬品の配置販売の事業7/10000
再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業14/1000
船員法第1条に規定する船員が行う事業48/1000

このように、本来は、労災の加入対象ではない、事業主なども、特別加入制度によって、労災に加入することが可能となります。

 

 

 

労災の特別加入制度を利用しよう!

本来、労災とは、会社などの事業所で働く、労働者のための制度です。

そのため、個人事業主や経営者は、加入することができません。

しかし、個人事業主や経営者であっても、現場で作業を行い、労災の対象となるような、怪我や病気になってしまうこともあります。

そのような場合には、できれば、労働者と同じように、労災保険で補償が行われるのが、望ましいですよね。

そのために、労災の特別加入制度というものがあります。

個人事業主や経営者の場合でも、これまでに見てきた条件に該当する場合には、加入を検討してみてはいかがでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました